相続税の申告

相続税の申告

改正「相続税」のしくみ

(10)小規模宅地の減額特例はこうなった

小規模宅地等の減額特例とは、残された相続人が生活をしていく上で必要であろうと思われる土地につき、一定の評価減を認めてくれる特例である。

概要は次のとおり。

小規模宅地等の内容 減額割合 対象面積
特定事業用宅地等(不動産貸付用は除く)
イ.被相続人の事業用宅地等で次の要件のすべてに該当するもの
1. その宅地上で営まれていた被相続人の事業をその親族が相続税の申告期限まで承継していること
2. その親族が相続税の申告期限までその事業を営んでいること
3. その親族がその宅地等を相続税の申告期限まで保有していること

ロ.被相続人と生計を一にする親族の事業用宅地等で次の要件のすべてに該当するもの
1. その親族が相続開始前から相続税の申告期限までその宅地上で事業を営んでいること
2. その親族がその宅地等を相続税の申告期限まで保有していること
80% 400m²
特定住居用宅地等
イ.被相続人の住居用宅地等で次のいずれかの者が相続した宅地
1. 配偶者
2. 次のすべての要件に該当する1. 以外の親族
・相続開始直前においてその宅地上の家屋に被相続人と同居していること
・相続税の申告期限までその家屋に住居していること
・その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること
3. 次の要件のすべてに該当する1. 以外の親族(日本国籍を有しない者を除く)
・被相続人の配偶者又は相続開始直前において被相続人と同居していた法定相続人がいないこと
・相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有する家屋に住居したことがないこと
・その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること

ロ.被相続人の居住用宅地等で次のいずれかの者が相続した宅地
1. 配偶者
2. 次のすべての要件に該当する1. 以外の生計を一にしていた親族
・相続開始前から相続税の申告期限までその宅地上の家屋に居住していること
・その宅地等を相続税の申告期限まで保有していること
80% 240m²
(330m²に改正)
同族会社の事業用宅地等(不動産貸付用は除く)で次の要件のすべてに該当するもの
イ.相続開始直前において被相続人及びその親族、これらと特殊関係にある者が株式等の50%超を有する会社の事業の用に供されていること
ロ.その宅地等を取得した親族が、相続税の申告期限において、その会社の役員であること
ハ.その親族が相続税の申告期限までその宅地等を保有し、引き続きその会社の事業の用に供していること
80% 400m²
国営事業用宅地等 80% 400m²
上記以外の小規模宅地等(不動産貸付用など) 50% 200m²

平成25年度の税制改正では、この小規模宅地の減額特例の対象となる面積等の見直しが行われ、次のようになった。
これは、基礎控除が少なくなり、税率が上がることによって、都心に宅地を持つ納税者の負担が大きくなることに対する一つの調整措置といえる。

1 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を240m²から330m²までに拡充する。
2 特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。ただし、貸付事業用宅地等を選択する場合おける適用対象面積の計算は、現行どおり、調整が行われる。
3 一棟の二世帯住宅で構造上区分があるものに被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得した敷地の用に供されていた宅地のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分が特例の対象となる。
4 老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の居住の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、特例が適用される。
イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること
ロ その家屋が貸付等の用途に供されていないこと

(注)1、2は平成27年1月1日以後、3、4は平成26年1月1日以後の相続から適用される。