相続・事業承継対策

相続・事業承継対策

三輪厚二税理士事務所の
相続・事業承継対策

相続税は、もはやお金持ちだけにかかる税金ではなくなった!

ついに相続税が改正され、大増税されることとなりました。
基礎控除は4割減、最高税率はなんと55%にもなります。
これまで、ウチは基礎控除の範囲内だから相続税なんか関係ないと思っていた人でも、これからはかなりの人が対象者に取り込まれることとなりますし、相続税がかかると思っていた人でも、その負担はウンと重いものになってしまいます。
「ウカウカしていたら、財産は確実に減ってしまう。」
そんな時代になったのです。
これからは、シッカリ生前対策(生前遺産分割)をしていかなければなりません。

相続税はこうなった

今回の相続税の改正は、相続に厳しく、贈与に甘い規定になっています。
これは、高齢者の保有する資産を少しでも早く移転させて、消費を拡大させ、もって経済を活性化させようという目的があるからですが、実はこの流れは、10年前に相続時精算課税制度が創設されたときから、ずーっと一貫して同じなんです。
つまり、税制は、かなり前から生前贈与を積極的に後押ししているのです。
相続をうまく乗り切るには、この流れに上手に乗らなければなりません。

新相続税対策、ポイントは「1-2」!?

では、どうするかですが、税制の流れは、「相重贈軽」ですから、贈与を積極的に活用して相続税を減らしていくということが一つのポイントになります。
では、どのように贈与を活用するかですが、ポイントは「1-2」、これになります。
「1-2」!? なんだそれは、と思われるかもしれませんが、それは、「増えるより減らす」ということ、そういうことなんです。毎年増える財産より多い贈与をするということです。
でも、ただ単に贈与をすればいいというものではありません。
贈与には、通常の贈与に他に、直系尊属からの贈与、相続時精算課税制度の贈与、住宅資金や教育資金の贈与、配偶者や障害者への贈与といろんな贈与の制度があるだけでなく、贈与税の納税猶予制度であったり、はたまた、遺贈や死因贈与などいろんな贈与の選択肢があります。
そのうちどれを使うかということがポイントになります。

新相続対策、攻略方法はこれだ!

相続対策は、もちろん節税という目的もありますが、それ以外に、たとえば、自社株は後継者にとか、不動産は長男にというように、誰かに確実にこの財産を引き継がせるという目的で行うものもありますし、相続後の財産の不均衡を解消するという目的で行うものもあります。
どちらも重要なことですが、最も重要なことは、「相続でもめないようにしておくこと」、そして「きちんと税金を払えるようにしておくこと」なのです。
いくら節税して税金を安くしたとしても、納める原資がなければ困ってしまいますし、いくらこの財産を誰かにと思ったとしても、相続人間で揉めてしまったら、必ずしもそのとおりになりませんし、税金だって高くなることがあります。 「相続は必ずもめる!!」
そう思っておいたほうがいいのです。
では、どうやってするですが、私はかねてから「生前遺産分割」を提唱しています。

生前遺産分割で財産をマモレ!

「生前遺産分割!? なんだ、それは?」「生前に遺産分割なんかできるのか?」と思われるかもしれませんが、私が提唱する「生前遺産分割」とは、自分の意思がしっかりしている間に、自分の財産の分け方をキチンと決めておいて、相続で家族がもめることのないよう、そしてまた、少しでも多くの財産を次世代に承継しようというものなのです。
新相続対策を攻略するには、これしかないと思っています。
税金は安いに越したことはないですが、それより大切なこと -家族がもめない、確実に財産をバトンタッチする- ということに重点をおいて行う生前相続対策なのです。
自分の相続を知り、どのような制度を使ってやるか、
①贈与か
②相続時精算課税か
③事業承継税制か
④信託か
はたまた、どのような方法でやるのか、
①生前贈与か
②死因贈与か
③遺言か
④遺言代用信託か
⑤遺言信託か
⑥後継ぎ遺贈型信託か
こういったことを、自分の意思で決定して、実行していく。
これこそが、私が提唱する「生前遺産分割」であり、家族に一番財産が残る方法であると私は思っています。 「家族円満」これこそが究極の相続対策だと思います。
財産が原因で、家族が他人になっては元も子もありません。
そんなことにならないためにも、是非、「生前遺産分割」を実践していただきたいと思っています。

うまく相続を乗り切るには!?

「生前遺産分割」の具体的なやり方は次のとおりです。
まず、
①現在あるすべての財産と債務を集計して現状の相続税額を把握する。
概算でもいいので自分の相続税額を計算しましょう。
そして、次に、
②相続税額がつかめたら、どの財産を誰に相続させるかを具体的に考えてみる。
その次に、
③その分割案に基づいた各人の相続税額を求めるとともに、納税資金が確保されているかどうかを検討してみる。
そして、
④納税資金が確保できていない場合には、分割案を練り直す、又は生命保険などで手当てできないかなどを検討してみる。特定の財産を特定の相続人に相続させたいというものがあれば、それを書き出しておいて、どの方法(贈与なのか遺言なのか信託なのか・・・)でどれぐらいの財産をどれぐらいの期間で移していくのかなどをプランニングする。
そしてこれを、
⑤定期的に見直ししていく。
生前遺産分割は、まずは分割、次に節税となっています。
節税メインはうまくいきません。 分割案に沿って一番良い節税を考える。それこそがベストプランなのです。

改正贈与税はこうなった

贈与の税率はこうなった

贈与税の税率は、次のようになりました。

現行の税率 改正後の税率
区分 税率 区分 税率
200万円以下の金額 10% 同左 10%
300万円以下の金額 15% 同左 15%
400万円以下の金額 20% 同左 20%
600万円以下の金額 30% 同左 30%
1,000万円以下の金額 40% 同左 40%
  1,500万円以下の金額 45%
1,000万円超の金額 50% 3,000万円以下の金額 50%
  3,000万円超の金額 55%
新設された直系尊属から20歳以上の者への贈与

直系尊属から20歳以上の者への贈与については、次の税率の贈与が適用されます。

現行の税率 特例贈与の税率
区分 税率 区分 税率
200万円以下の金額 10% 同左 10%
300万円以下の金額 15% 400万円以下の金額 15%
400万円以下の金額 20% 600万円以下の金額 20%
600万円以下の金額 30% 1,000万円以下の金額 30%
1,000万円以下の金額 40% 1,500万円以下の金額 40%
  3,000万円以下の金額 45%
1,000万円超の金額 50% 4,500万円以下の金額 50%
  4,500万円超の金額 55%

相続時精算課税制度はこうなった

「相続時精算課税制度」とは、一定の直系親族間贈与に認められた贈与の特例である。
相続時精算課税制度には、贈与財産を特定しない一般の相続時精算課税制度(以下、一般型という)と使途を住宅取得等資金に限定した住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度(以下、住宅型という)がある。
今回の改正では、次のように一般型の適用要件が緩和され、さらには、一般型と同じ内容の孫型が創設され、一層活用しやすいものとなった。
この改正は、平成27年1月1日以後の贈与に適用される。

一般型

贈与者の年齢:65歳以上の親から60歳以上の親に要件が緩和された

事業承継税制はこうなった

事業承継税制とは、「非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予」制度のことであるが、平成25年度の税制改正では、「更に使いやすく」という声に応えて、次の改正が行われた。
この改正は、平成27年1月1日以後の相続もしくは遺贈又は贈与から適用される。

1. 親族外承継も対象に

後継者は先代経営者の親族に限定されていたが、親族外の者にも適用されることになった。

2. 雇用8割維持の要件が緩和

雇用の8割以上を5年間毎年維持しなければならないという要件が、5年間平均でよいこととされた。また、雇用確保要件が満たせず、取り消しとなって、納税猶予税額を納付しなければならないこととなった場合には、延納又は物納を選択適用することができることとなった。

3. 株式不発行もOKに

この制度を適用するには、株式を発行しなければならなかったが、一定の要件の下、株式不発行会社については発行を要しないこととされた。

4. 役員退任要件が緩和

先代経営者は株式を贈与する時に役員を退任しなければならないとされていたが、代表権を有していなければよいと改正されたので、役員として残留することもできるようになった。また、給与の支給を受けても贈与税の納税猶予が打ち切られないこととされた。

5. 納税猶予打ち切りリスクが緩和

経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)経過後に納税猶予税額を納付する場合には、その期間中の利子税が免除されることとなった。

6. 事前確認制度が廃止に

この制度を利用する場合には、事前確認を受けておく必要があったが、その制度が廃止になった。

7. 特定会社の要件が厳格に

資産保有型会社・資産運用型会社の要件が見直しされ、厳格になった。
イ)常時使用従業員数が5人以上必要であるとする要件について、経営承継相続人等と生計を一にする親族は人数に含めないこととされた。
ロ)貸付け等の要件について、経営承継相続人等の同族関係者等に対する貸付けを含まないこととされた。

8. 債務控除方式が変更に

納税猶予税額の計算をする場合において、被相続人の債務及び葬式費用を課税価格から控除すると納税猶予税額が少なくなることから、株式以外の相続財産から控除することとされた。

信託を活用した相続対策

信託ってご存知だろうか?
「投資信託」とか「土地信託」などを連想して、ちょっと危ないんではという印象をお持ちかもしれないが、相続・事業承継で使えるように平成19年に信託法の法整備が行われ、安全に使えるものになっている。
しかしながら、まだまだ「従来の信託」のイメージが強かったり、これらを実現するための商品開発が進んでいなかったりで、実際のところ、実務ではほとんど取り扱われていない。
したがって、今回、本書ではその概略を述べるにとどめておくが、使い方にはかなりのバリエーションがあることから、オーダーメイドで様々なニーズに応えられることができるものと思う。
財産処分でお悩みであれば、是非検討をお勧めする。